若年者に増加している新型うつ病とは何か、仮病や甘えと誤解されてしまうことも
仕事で怒られてしまって会社に行くことがしんどい、上司に会いたくない、そのようなことを考えてしまい、体調が悪くて夜眠れなかったり、朝がつらかったりしませんか。一方、休みの日は外出や旅行、レジャー等の計画をして楽しんで、ついSNSにその時の写真を載せてしまって、同僚等が見ていて非難されたというような経験はありませんか。新型うつ病や非定型うつ病の可能性があります。若年者を中心に新型うつ病や非定型うつ病が増加しています。仮病や甘えと捉えられてしまって、社会の中で葛藤や生きづらさを持つことも多いとされ、現在はうつ病の1つであると考えられています。
新型うつ病とは何か
うつ病は落ち込んでいる、憂鬱な気分が続く、活力などが落ちてしまうといったイメージを持つことが多いかと思います。うつ病の中核的な気分の落ち込みは、新型うつ病でも同じようにみられます。特に、新型うつ病の方は、辛い状況に置かれている際に症状が強くみられる傾向にあります。従来のうつ病とは異なり外出や旅行等も体調と相談しながらであれば可能です。新型うつ病は、2010年頃から注目をされ、症状が変化することや今までのイメージとは異なるため、周りの方の理解を得られずに怠けていると思われてしまって、仮病などのレッテルを張られてしまいます。社会の中で孤立しやすいですが、適切な治療により改善が期待できます。お気軽にご相談ください。
頻度について
うつ病の有病率は、10〜12人に1人といわれています。そのため、うつ病は珍しい病気ではありません。うつ病のうち、30〜40%は新型うつ病ではないかと指摘されています。新型うつ病は、どちらかといえば女性にみられます。また、20~30歳代に多いといわれています。
症状
新型うつ病には下記の症状がみられます。
- 主に気分の落ち込みがみられる。好きなことをしている間は、辛い症状が落ち着いて明るくなる。
- 倦怠感が強くて、鉛のように手足が重く感じる。
- 仮眠しやすい。どれだけ寝ても寝不足のような感じがする。
- 甘いものを食べ過ぎる。過食気味になることが多くて太ってしまう場合もある。
- 夕方ぐらいから調子が優れない。
- 他者の評価が気になる。ちょっとした発言でも見下されたように感じてしまう。
- 例えば、上司からの叱責がストレスになった場合は、上司の顔を見る度にその時の嫌なことが思い出されてつらい等のフラッシュバックが起こる。
従来のうつ病と異なり、好きなことやストレスが少ない環境では、喜びや楽しさを感じられます。そのため、周りの方から好きなことをしているときは楽しそう、病気には思えない等、健康であると誤解をされてしまう場合があります。しかし、新型うつ病の気分の落ち込みや大きなストレスに対する体の不調は、従来のうつ病と同じように辛いものです。社会・生活面も支障が出てくることから、医療的な介入が必要になります。周りの方の理解が得られにくいことも、新型うつ病の辛さの1つになりますので、まずは医療機関を受診してみるということも重要です。
原因
新型うつ病は、前頭葉の機能低下が影響しているといわれています。新型うつ病により、情動や感情をコントロールする記憶を司る海馬をコントロールしている前頭葉の働きが低下することもある、とされています。これにより、感情のコントロールが上手くできず、相手の感情や些細な言葉に敏感になり、不安や落ち込みが継続するとされています。また、眠気やだるさ、過眠も前頭葉の機能による影響で生じるとされています。
診断と治療
新型うつ病は、仮病や甘えと誤解されることが多いです。しかし、従来のうつ病と同じように治療が重要な疾患であることは変わりません。診断は医師の診察によって行われます。治療は薬物療法が中心となりますが、それに加えてしっかり定期通院を続けること、通院の中で生活パターンを見直してみること、その他デイケアなどのような治療プログラムへ参加するなど、薬物・心理社会治療を組み合わせていくことで、少しずつ治療効果が得られるとされています。まずは1人で悩まれず、当院でもご相談ください。